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2010年 07月 21日

佐渡島/忘れられてしまった海岸

新潟県の離島、佐渡島は、夏の避暑地として、観光の島として成り立っています。
島内で対外的にも知られている海水浴場も兼ねた海岸は、北部の二ツ亀海水浴場、南部の素浜海岸が
ありますが、その昔なら南部なら此処と地元民や帰省客から親しまれていた海岸がありました。

 「 大石海岸 」

今から約12~15年前までは、全長1kmはある砂浜が広がり、親子連れが夏になると海水浴に訪れる、
普段静かで、でも夏賑やかな、大石海水浴場と呼ばれていた海岸でした。

遠浅の海は、テトラポッドのある場所まで歩いていける場所すらあり、小さな子供を連れた親子も安心して
遊べる広い砂浜、夕暮れ時になると海中から浜辺に上がってくる蟹達が砂浜にある巣穴に一斉に入っていく
光景が見られる、自然豊かな場所でもありました。

子供の頃の私は、夏になる度に母や祖母、近所のおじいさんに連れられて遊びに来ては、砂浜で貝拾いや
海水浴に明け暮れてました。
小学生の頃は、この海岸で拾った貝を使った標本を夏休みの課題提出として毎年出していたものです。
夕暮れ時まで泳ぎ、海から巣穴に入る為に上がってくる蟹達の姿を追いかけた、そんな思い出の場所です。

そして高校の頃は、学校から帰る都度、自主的に海岸清掃をしたりと、自分なりに大切に思っていた場所を
綺麗にするべく努めていました。
いつまでも綺麗で、子供達が楽しく利用していける海岸であって欲しかったから。


しかし、もうかつての砂浜、遠浅の海の姿は、そこにはありません。
護岸工事、全ては、この名の下に、目の前にある自然を大切にしない海岸埋め立て工事が行われました。
佐渡島にある市町村合併が迫っていた頃に工事が始まり、貴重な自然は、かつての面影すら残していない
無機質な、海水浴場としても成り立たない場所へと変貌しました。

当時、海岸を利用していた漁業組合に参加していた人達は、この工事に反対していたそうです。
子供の頃、海岸まで連れていってくれた今亡きおじいさんも漁業組合に所属し、この海岸を愛した人でした。
おじいさんが生きていて、今の変わり果てたこの海岸を見たら、きっと悲しむことでしょう…。


本当に護岸工事が必要だったのかは、私には、分かりません。
確かに砂浜が徐々に侵食されて、砂浜自体の面積が年々少なくなっていっていたのは、事実です。
海に入る都度、遠浅だった海底に、急激に深くなっている場所も出ていました。
でも、本当に砂浜を無くしてまで、埋め立てという手段を取ったことには、未だに疑問を感じています。

自然を破壊し、砂浜も無く、海水浴場としても成り立たなくなってしまった海岸には、遊んでいる子供達の姿も
見えず、海岸に造られた公園には、誰も使わない木馬がひっそりと佇んでいます。


一度壊してしまった自然は、得難く、元に戻すとなれば倍以上のコスト、年月が掛かることになります。
観光客の目には、こうして破壊された自然の姿は、分からないし伝わらない部分でしょう。

自然豊かだった頃の海岸、広がる砂浜、遠浅の綺麗な海の姿は、もう思い出の中にしかありません。
目を閉じれば、あの頃の光景が未だ鮮明に思い出すことが出来ます。

大石海岸の失われた自然は、二度と戻ることは無いでしょう。
自然豊かなことで知られる佐渡島、もっと自然を大切にしていって欲しいと願うばかりです。
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撮影機材:NIKON D1X、AF-S NIKKOR 1:3.5-4.5G/18-70mm ED



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by smj-gnrl | 2010-07-21 13:08 | 風景


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